幸せなキスをして終了 Ver.2

ダイアリーからブログに引っ越したつもり アニゲと音楽のこととか

リズと青い鳥・鑑賞ガイド

4/22より全国で封切となったアニメーション映画【リズと青い鳥】。

liz-bluebird.com

 

僕も運よく公開日に観ることが出来たのですが、

余りの破壊力により深刻な語彙力の減退が引き起こされて

下記のようなエントリを投稿するに至ったわけであります。

osyamannbe.hateblo.jp

感想というよりはただの感情殴り書きメモなんですがそれは

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さて、22日夜からブログとTwitter

リズと青い鳥はヤバい、お前らも観ろ。観て。観てください。」

という話ばかり書いていたところ、

「ならいっそ【リズ観るならこれ観とけ・読んどけ】なガイドを書いてみては?」

というアドバイスをいただきましたので、

思いつくままに書いてみようと思います。

(A2さんありがとうございます)

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本作「リズと青い鳥」(以下【リズ】と表記)の表面的な宣伝としては

「ユーフォシリーズを原作としてはいるけれど、スピンオフの一つですよ~」

という感じでしょうか。少なくとも

「ユーフォシリーズの続編」というよりは

聲の形スタッフの最新作」としてアピールしているのだろうな、と思われます。

(実際Twitterなんかでは「えっリズって映画、ユーフォの続編なん!?」

 みたいなインターネットキッズの反応がちらほらあった)

 

鑑賞した僕の感覚としては、

「一応独立した作品として成立してはいる。

 しかしファンムービーとしての側面もあるので、

 関連作品を拾っておくとなお良い」

という感じでした。

主役ふたりのドラマは劇中の描写で充分に堪能できますが、

彼女たちをとりまく他の人間との絡みについて知っておくと、

より深く感じ入るものが増える(要はエモい)のは事実です。

 

■コンセプト

二つの案を考えました。

  1. サクッと【リズ】本編に関わる重要な部分だけ知っておきたい
  2. 【リズ】本編に登場する各人物の伏線を詳しく把握し、より濃厚に楽しみたい

という観点で関連作品ガイドをまとめてみます。

 

◼️関連作品まとめ

【リズ】は原作:武田綾乃による小説シリーズ

「響け!」シリーズのアニメ化作品であり、

原作小説をアニメ化したTVアニメーションのスピンオフ作品でもあります。

 

原作シリーズは現在までに

長篇が4作 (1,2,3,第二楽章 上下巻)

別の高校を描いた外伝が1作 (立華高校編 上下巻)

番外編となる短篇集が3作 (ヒミツの話,吹奏楽日誌,ホントの話)

と多数が出版されています。

 

アニメ作品としては、TVアニメーションとして放映された

「響け! ユーフォニアム」(全13話)

「響け! ユーフォニアム2」(全13話)

が存在し、

編集・再構成された劇場版として

「劇場版 響け! ユーフォニアム 〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜」

「劇場版 響け! ユーフォニアム2 〜届けたいメロディ〜」

が既に制作されています。

改めて見ると【リズ】はユーフォシリーズでは

【初の完全新作劇場アニメーション】なわけですな。

 

ちなみに、原作書籍の挿絵をなさっているアサダニッキさんが、

ご自身のTwitterにてわかりやすく

「どの原作小説がどのアニメとリンクしているか」

をまとめてくださっています。

そちらをご覧いただくのも良いと思います。

 

 

【リズ】本編の原作となっているのはシリーズの中の長篇では最新作となります。

 

過去に出版された原作にも【リズ】の主役ふたりを

取り上げたエピソードはいくつかあり、

原作小説二巻においてはふたりの動向が物語の重要なファクターとして

描かれています。

 

ややこしいのは原作・TVアニメ・劇場アニメそれぞれで

主題として打ち出されている部分に差異が激しいところでしょうか。

 

◼️やめておいた方が良いルート

「劇場版の新作なんやし、

 古い劇場版2つとも観とけばまぁええやろ〜」

というのはやめておきましょう。

理由は、劇場版1,2には【リズ】主役のふたりが

絡んでくるシーンが非常に少ないためです。

特に劇場版2に関しては、元々のシリーズ主役である黄前久美子と、

その先輩・田中あすかのストーリーを中心に取り上げているため、

本来TVアニメ二期で映像化されていた

【リズ】関連キャラのエピソードはほぼ全てがオミットされています。

しかし、劇場版1に関しては【リズ】物語の舞台となる

「北宇治高校吹奏楽部」に関して

ある程度バランス良く編集されている作品といえるため、

世界観や背景ストーリーを掴むのに観るのには向いていると思います。

 

では、実際に二つの案を紹介していきましょう。

 

◼️1.「サクッと」作品背景を確認したい場合

 

  • 「劇場版1」を観る
  • TVアニメ「ユーフォ2」第1話〜第5話までを観る
  • 【リズ】本編の上映を観に行く

 

【リズ】は原作で言うとパート4にあたる部分の映画になりますが、

主役ふたりの物語は原作パート2から取りあげられることになります。

原作パート2はTVアニメ二期「ユーフォ2」

で映像化されており、話数でいうと

ユーフォ2・第1話〜第5話までが【リズ】のメインキャラ

鎧塚みぞれと傘木希美(&吉川優子と中川夏紀)が

関わるエピソードとなっています。

ユーフォ2・第6話以降は【リズ】に関わるキャラクターが

大きく取り上げられることは減ってしまうため、

【リズ】についてだけ言えば

観ておくべき部分はとても少ない、とも言えるでしょう。

 

また、劇場版1に関しては前述の通り

世界観や周りのキャラクター像をざっくり掴むのには

向いていると思いますので、鑑賞しておくのはオススメです。

特に【リズ】でも重要な役割を果たす吉川優子と中川夏紀が

どういうキャラクターなのかを知っておくことは、

【リズ】の物語を読みとる際の味わいを間違いなく深めてくれると思います。

 

劇場版1の本編が103分。

TVアニメ二期の1〜5話で約150分。*1

事前準備として長いと思うか短いと思うかは、皆さんのご判断にお任せします。

ただ、なるべく短く【リズ】に至るまでの雰囲気を掴んでおくのなら、

できれば観てもらいたい部分でもあります。

 

◼️2.「がっつり」伏線まで読み込みたい場合

 

  • TVアニメ一期を通して観る
  • TVアニメ二期を1話〜5話まで観る
  • 原作「響け! ユーフォニアム2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん暑い夏」を読む
  • 「劇場版 響け! ユーフォニアム2 〜届けたいメロディ」を観る
  • 原作「響け! ユーフォニアム 波乱の第二楽章」上・下巻を読む
  • 【リズ】本編の上映を観に行く

 

こちらのパターンは

「ユーフォシリーズ初見の方を全力でユーフォ沼に引き込む用」

の手順となっています。

つまり、ネットの闇にはびこるユーフォヤクザの武器とも言えるリストです。

(僕が勝手にリストアップしただけですが)

 

ひとつ目のパターンで色々書いといて難なんですが、

本腰入れてユーフォシリーズを楽しんでいくのであれば

劇場版ユーフォ1は観ておく必要はあまりありません。

というのも、アニメ一期13話分をかなり端折って

103分にまとめているため、展開がかなり駆け足になってしまい、

【リズ】にも多く登場する中川夏紀のエピソードが

かなり削られているということや、

元々の主人公・黄前久美子に関わる物語としても

色々と観るべきところが減ってしまっていること、

台詞の再録などがあり、TVアニメ放映時に評価の高かった部分でいくつか

純粋に作品としての価値を落としてしまっているのでは?と

感じる部分がいくつかあるためです。

 

【リズ】の主役である鎧塚みぞれのTVアニメで始めての台詞は

劇場版1での追加シーンで観ることができるので、

本来であれば観ておくべきところになる筈だったのですが、

ユーフォシリーズの魅力を知る上で余りにも

カットされている部分が多過ぎるため、

個人的考えとしては

「劇場版1観るくらいなら一期を通しで観ろ!」

と全人類に言いたいという心境です。

(あくまで個人の考えです。劇場版1がお好きな方がいたら申し訳ありません)

 

次の二期1〜5話に関しては1つめのリストと同じ流れですね。

何しろ二期の後半はみぞれ&希美は殆ど出てきませんので、

ふたりの物語をアニメで知るにはここを観るしかないわけです。

 

続いては原作のパート2を読むのが良いでしょう。

「えー! いま二期5話まで観たところの原作なんでしょ?

 なんでまたそこのお話なの!!」

とお考えだと思いますが、

TVアニメ二期は原作パート2,パート3を

13話ぶんに圧縮して構成されていますので、

オミットされている部分も残念ながら多く存在します。

また、【リズ】を観た際の個人的感覚として、

「これはかなり原作の雰囲気に寄せた映像化なのでは?」

という感想を抱きました。

原作ではシリーズを通して(特に希美&みぞれに関しては)、

思春期の女性同士が抱く(らしい)依存的友人関係・依存的友情を

これでもか、これでもかと描写しています。

判り合いたい、本音を言いたいけど怖い。

伝えた言葉が上手に伝わらない、

平行線のまま外見だけは上手く修復している。

といった感覚が著者・武田綾乃さんの文章からヒシヒシと伝わってきます。

学生同士の憧憬と断絶を絶望的なまでに克明に描きだす描写は、

【リズ】の主役ふたりの物語の根底にある重要な部分だと思います。 

 

原作2巻を読み終わったら、劇場版2を観ましょう。

TVアニメ二期6話〜13話、および二期全体を再構成し、

元々の主役・黄前久美子と久美子の姉、

そして久美子の先輩・田中あすかにまつわるお話として編集されています。

【リズ】開始時には物語中の季節が一巡し、新年度・新学年を迎えています。

三年生の部員が引退・卒業し、

【リズ】メインキャラ達が新三年生として部活の中心になっています。

その新体制に至るまでのハイライトを観ておくのも

【リズ】を掴む上で重要なポイントが沢山あるはずです。

【リズ】の主役は殆ど出ませんが。

 

あと、単純に出来がいいんだ劇場版2。

観てくれ。単品として十二分に楽しめるはずなんだ。

うるせえ。観ろ。

 

次は原作ですね。

第二楽章編はまさしく【リズ】の原作と言える部分になります。

前述の通り【リズ】はかなり原作の雰囲気に近い映像化を実現している(と思う)ので、

読んでおくと良いと思います。

ただ、原作はあくまでも黄前久美子の物語として進行して行きますので、

久美子の周りのキャラクターやエピソードも多く登場してきます。

それらを「ノイズ」と感じる方も多いと思いますし、

何より「ネタバレ」を知った上で【リズ】鑑賞に臨むことになりますので、

それを嫌うのであればスルーしてしまっても全然OKだと思います。

上下巻で少し長いですし(今更)。*2

 

さて、お待たせしました。

ここまで付き合って頂いた方はもうユーフォ沼に

とっぷり浸かっていることでしょう。

満を持して【リズと青い鳥】の上映をご鑑賞下さい。

そして震えて下さい。

感じて下さい。

ふたりの物語を。

 

◼️まとめ

長いガイドにお付き合い頂きありがとうございました。

重要なポイントとしては

  • 一期を観るなら劇場版より一期通しで観よう
  • 二期は5話までが重要
  • (できれば劇場版2も観て)
  • 原作「第二楽章」はネタバレ回避でスルーOK

というところでしょうか。

 

ちゃぶ台を返すようですが、そのまま【リズ】に突撃するのも全然アリです。

それくらいのオーラ力がある作品です。

リズと青い鳥】を観てください。

観てください。

 

あなたにとっても【リズと青い鳥】が大切な作品になることを願っています。

 

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あっそうだ(唐突)

ユーフォに運良くハマってくれた人は、

「立華高校マーチングバンド部へようこそ」も読んでくれよな〜

頼むよ〜

作品世界内で最強最悪のサイコパスなやべーやつ(CV:田所あずさ)が主役だからよ〜

 

*1:二期の第1話は50分スペシャルとして放映されたので、実質6話分の長さがあります

*2:【リズ】の背景で中川夏紀がどんなドラマを体験していたかを知っておいてほしい、というのはなまら強く思っていますが