幸せなキスをして終了 Ver.2

ダイアリーからブログに引っ越したつもり アニゲと音楽のこととか

TRPG動画にハマった話【ひとくち卓】

ここ半年くらい家族がスキマ時間に観ていたことに影響されて、

我が家ではすっかりおなじみになった動画ジャンル。

それが「TRPG動画」です。

 

ここ5年くらいのニコニコ&YouTubeで地味~に長いこと

根強い人気が続いているジャンルですね。

 

テーブルトークRPG - Wikipedia

 

■はじめに

 

取り敢えず長々と書く前に、

結論というか言いたいことを言っておくと、みんなも

はりたまさん作「ひとくち卓」の

シノビガミ」リプレイ動画を観よう!

ということです。

www.nicovideo.jp

 

TRPGのおもいで

 

私は元祖グループSNE作品群のブームにギリギリ乗っかれた世代なので、

(いわゆるソードワールド・ロードスあたり)

TRPG自体は知ってはいたものの、実プレイの経験は殆ど無く、

懐かしのソードワールドRPGのリプレイシリーズをいくつか

読んだことがある程度でした。*1

今でも根強い人気があると知ったのはごく最近になってからです。

 

TRPGは前述のグループSNE作品群のブームがひと段落した後、

90年代後半~00年代初期くらいにはTCGブームにユーザ層が移行したっぽくて

かなり下火になっていたようなんですが、

今ではインターネット上でのセッション*2環境が

充実し、ボイスチャットも楽にできるようになったため

遊ばれる下地はかなり出来やすくなっているようです。

 

--- 余談 ---

 

80年代のTRPGブームの後、一部のユーザは

並行して雑誌投稿型のメイルゲーム(プレイバイゲーム)ブームに

移って行ったとされており、

2000年代に頭角を現したクリエイター・ライトノベル作家の多くに

現在もコネクションを多く持ち、相互扶助の精神で繋がっている

蓬莱学園学閥」というものが存在している、

という言説があるようです。

蓬莱学閥こわ〜😫

news.denfaminicogamer.jp

 

--- 余談おわり ---

 

■「TRPG動画」という存在を知って

 

ニコニコ初期には字幕で紙芝居スタイルのリプレイが多かったんですが、

(ハワードP、ブリッツPなどに代表される卓m@sがやたら流行ってた時代があった気がする)

一時を境に今では字幕読み上げソフト、

いわゆる「ゆっくり実況」によるリプレイ動画が主流になっています。*3

TVのように「ながら観」スタイルで観られるので、

何かしながらBGM的に流しておくのに丁度いいんですよね。

 

ネット界隈で一番人気のあるシステム*4は、

何といってもブッチ切りで「クトゥルフ神話TRPG」。

10年代前後に「這い寄れ!ニャル子さん」シリーズが人気になったことも

影響しているとはいえ、この人気の偏りは想像を絶するレベル。

ぶっちゃけ、「インターネットでリプレイ動画のあるTRPG」を検索すると

8割はクトゥルフが出てくると思います。

 

ある程度のTRPG経験者だと「想像以上にプレイしにくいシステム」

と評価されることも多い(らしい) 「クトゥルフ神話TRPG」が

ここまで人気を寡占することになったのはいささか不思議ではありますが、

ともあれ我が家ではその膨大なリプレイ動画の山に

日々お世話になって楽しませてもらっています。

 

ちなみに、日本インターネットでの

クトゥルフ神話TRPGの隆盛に関する分析は

こちらのブログ様の記事が詳しいです。

docseri.hatenablog.jp

 

さて、クトゥルフTRPGはサスペンス・ホラー・アドベンチャー

巧い具合にミックスされた展開・シナリオを

ハラハラ楽しむのに向いているシステムと言えると思いますが、

総じて「シナリオ&リプレイ動画そのものが非常に長くなる」のが

良くもあり、悪くなる点でもあります。

また、戦闘システムが比較的シンプルで特筆する点は少なく、

戦闘シーンになると光栄のCRPGジルオール」もびっくりの

大味な展開になることも多かったりします。

 

純粋に長いストーリー・動画をたくさん見続けるというのは

ゆっくり形式の紙芝居動画では意外と「飽き」が来るもの。

いい加減「ほかにも何か面白いシステムのリプレイは無いモノか」

と思っていたところ、

家族が観始めていた分に中々面白いシステムの動画がありました。

 

それが「シノビガミ」です。

シノビガミ - Wikipedia

 

■「シノビガミ」って?

 

シノビガミの特徴を判りやすく整理すると

 

・プレイヤーに「使命」が明示されることでロールプレイを取りやすくする

・「秘密」を持たせて探り合いをさせることで

  対立・協力の逆転要素&ドラマ性を持たせる

・キャラメイク・バトルにTCGに近いビルド性とコンボ性を持たせて爽快感を出す

 

といった所でしょうか。

ロールプレイ部分はありますが、

ゲームの流れとしてはボードゲームに近いものがあるかもしれません。

 

TRPGの実体験&リプレイでよくあるパターンとして

「考えていたストーリー展開に沿ってプレイヤーが進んでいかずに、良く分からない方向へ物語が進行し結局謎も収集が付かずにゴールに入ってしまう」

といったことがあります。

もちろんそうならないようにプレイヤー&GM*5

互いに相談しあったり軌道修正をしたりする訳ですが、

あまりにガッチリ枠組みを持たせようとするとプレイヤーは白けてしまうし、

プレイヤーの悪ノリのままに物語があさっての方向に行っても、

それはそれで消化不良になってしまうもの。

そこで、システムを問わず世のGMは時折、

シナリオ作成段階で「ハンドアウト」という手引書を作成し、

各プレイヤーに「あなたはこういう目的があって冒険に出るんですよ~」

「最終的に〇〇だけは手に入れられるよう努力する性格の人ですよ~」といった

ロールプレイ上の指針を予め提示することがあります。

 

シノビガミ」ではゲーム上の仕組みとして、

各キャラ全員に公開される「使命」と隠された「秘密」を持たせて

ハンドアウトを必ず参照させる作りになっています。

「指名」を各自見ることでどういう立ち位置で動くべきかが判りやすくなり、

ロールプレイやアクションがしやすくなります。

また、「秘密」は各プレイヤーが隠し持つハンドアウトとして渡され、

「秘密」によっては元々公開されていた「使命」を打ち消す「新しい使命」を

指定していることもあります。

 

(例)使命:あなたはプレイヤー2の部下である。2をサポートし

      2の指名を達成させることが目的である。

   秘密:実はプレイヤー2はあなたの父の仇である。2をバトルで倒し

      父の復讐を果たすことがあなたの「本当の使命」である。

 

この場合、序盤のロールプレイではプレイヤー2のお手伝いをしつつ、

土壇場では「父の仇!!」と激高して襲い掛かるプレイングになるわけです。

実プレイではターン毎に各プレイヤーが

お互いの「秘密」を探り合うフェイズがあるため、

展開によっては途中でプレイヤー2に「秘密」を

知られてしまうことがあるわけです。

そうなれば、満を持して

「フフフ・・・ついに知られてしまったか…! なれば、この時より

 我等は袂を分かつことになる! あなた様は良い上官であったが、

 父の仇!! ゆめゆめ夜道には気を付けられィ!!」

といった厨二セリフで宣戦布告することができるようになります。

 

シナリオ上でも、プレイヤーやNPCが全員味方と見せかけて、

「秘密」を探っていくとバトルロイヤル…? いや3対3…?

やっぱり2対2対2…!? 違う!! NPCの呼び出した隠されたラスボスを倒す

6人協力型シナリオだ!!!!

といった逆転に次ぐ逆転のドラマが、

ターン毎のロールプレイとダイスによってもたらされます。

 

これは、「ロールプレイの助けになる」だけでなく、

「無理してロールプレイをこなさなくても、シナリオの隠れ要素を探ることで

 純粋に謎解き・物語の背景を探る楽しみを得られる」という魅力があります。

 

そして、バトルシステムも開発チームが別作品でも用いている

「プロット制」を使った戦略バトルが楽しめます。

毎ターン「プロット」と呼ばれる行動速度・行動コストを一斉に宣言して

互いにイニシアティブを取り合いバトルするシステムです。

詳しくは冒頭に紹介した動画などを見ていただけると判りやすいかと

思いますが、イメージとしては

「数字の大きいプロットほど早く動けて沢山術を使えるが、ミスする可能性も上がる」

「数字の小さいプロットほど遅く動き術も使いにくいが、トラブルは減る」

というリスクとリターンが表裏一体の行動宣言ルールです。

行動順だけでなく、各攻撃が届く飛距離もこのプロットの位置関係に

影響されるので、お互いの使う忍術・攻撃方法を想像した上で

読み合いの中プロットを選ぶことになります。

 

使う忍術にメリット・デメリットがある様々な中からキャラメイクすることができ、

各忍術にはコンボとして使えるシナジー効果があるものも

多々存在するため、バトルシーンでの熱いコンボ合戦が魅力です。

コンボを見据えたロマン構成でキャラメイクするも良し、

ミスを防いだ安定構築でキャラメイクするも良し、

キャラビルドを推測しながらバトルシーンの動画を観るだけで

とっても楽しめるゲームになっています。

 

興味深いのが、システム的に必要に迫られ

そこそこのロールプレイをしていたであろうプレイヤー達が、

「秘密」が明らかになった後のバトルシーンで

自然と何かしら感情的にのめり込んだロールプレイになっていくケースが

多々あることです。

(もちろん動画で作った際に脚色していたりはするでしょうが)

 

そこそこの動画を観てきましたが、各プレイヤーが「秘密」を取得した際に

「え!? マジ!? マジかぁ…」と困惑したり

必死に推理してプレイングしているだろうなと思われる反応を

見せてくれるのは、動画の上でもなかなかのライブ感があって

自然とドラマチックなセッションに盛り上がっていきます。

 

今回紹介した「ひとくち卓」*6では、その「自然発生的なドラマチックさ」の

面白さが遺憾なく発揮されています。

編集もとても丁寧で観やすく、シナリオ・プレイヤー・ゲームシステムと

様々な面で判りやすく「シノビガミ」の魅力をたっぷりと

伝えてくれる名シリーズだと思っています。

たまたま発見したシリーズではあるが、ぐんぐんと再生数を伸ばしており

これからどんどん人気上昇が起こるのでは…? ととても応援しています。

単発でも楽しめるように作られていますが、

地味~に背景世界で陰謀が進行している描写や、

過去NPCの再登場なども後半に起こり

純粋にストーリーが楽しみでもあります。

 

もし気が向いたら、是非シリーズをご覧頂きたいです。

www.nicovideo.jp

みんなも、シノビガミ、観てみよう!やってみよう!

ぼくも実プレイやってみたいなぁ

 

 

 

 ルールブックにリプレイが付いてる状態で出版してるの上手い作戦だと思う(KONAMI



 

 

メガネ君とジタンとシュルクのロールプレイがすごくすき

あと鯉瀧恋ちゃんのヒロインちからすごい

*1:ザ=ボンとかケッチャとかスイフリーとかのやつ

*2:TRPGを遊ぶ会合の総称

*3:不思議とVOICEROIDによる読み上げをさせる動画は少なめ

*4:TRPGのタイトル&ブランドを「システム」と呼んで区別している。「ダンジョンズ&ドラゴンズ」「クトゥルフ神話TRPG」「パラノイアTRPG」などなど

*5:ゲームマスター。ルール裁定をしたりストーリー説明・状況描写をしたりして物語とセッションの舵取りをする

*6:TRPG動画界隈では特定の投稿者・GM・プレイヤーの参加する動画のシリーズを〇〇卓と表記してタグ付け・呼称する風習がある。シナリオ作成者、プレイヤー、GM、動画編集者と様々な部分でファンが細分化されるのも不思議な特徴だと思う